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2025年8月20日

【リポート】令和7年7月度福岡オトナビ塾「オトナの社会科見学~五福の家~」

「五福の家」がつむぐ地域の未来:高齢者支援と社会参加の新たな一歩

令和7年7月の福岡オトナビ塾は、「オトナの社会科見学」をテーマに地域共生型の福祉拠点「五福の家」(南区若久)で開催しました。田嶋葉子氏(福岡市社会福祉協議会)、大庭欣二氏(福岡福祉向上委員会)、山下和美氏(福岡オトナビコーディネーター)の3名を講師としてお招きし、「五福の家」の生い立ちや楽しい社会参加のあり方、セカンドキャリアのライフスタイルについて紹介しました。

 

「五福の家」で紡ぐ多世代の絆

福岡市南区に令和7年4月、明治12年創業の醤油製造の地をリノベーションして誕生した「五福の家」。
遺贈された空き家を活用し、福岡市社会福祉協議会が運営するこの施設は、高齢者、障がい者、若者、子どもが集う地域共生の拠点として、地域の未来を切り開いています。

「五福の家」の交流の場となっている「カフェ」は、火・木・土の週3回(11:00~17:30)オープン。
ユニークな「日替わりマスター制度」では、曜日ごとに異なるマスターがカフェを運営。
趣味の話や悩み相談がしやすいマスターを選べる仕組みが対話を促進し、200円のコーヒーや福祉事業所の手作りスイーツを楽しみながら、91歳の高齢者や特別支援学校の卒業生など、世代を超えた人々が気軽におしゃべり出来る素敵な空間となっています。

カフェにとどまらず、「五福の家」は多機能な施設として地域課題に取り組んでいます。
前棟2階には福祉団体の事務所、後棟には自立援助ホームや地域防災倉庫、小さな畑を整備。
自立援助ホームでは、家庭に帰れない若者に生活指導や居場所を提供し、孤独・孤立の解消や子ども食堂支援にも貢献しています。
福祉に明るいマスター達やスタッフが提供する空間は、地域の歴史と住民の力を結びつけ、誰もが立ち寄りやすい場を創出しています。

 

「福岡オトナビ塾」で語られた情熱と軌跡

「五福の家」を舞台に開催された「福岡オトナビ塾」では、3人の話者が地域福祉への思いを共有しました。

  • 田嶋葉子氏(福岡市社会福祉協議会):制度では解決できない課題に挑戦!施設の寄贈から立ち上げまで深く貢献されました。

    「誰もが安心して暮らせる地域」を目指し、「五福の家」を立ち上げました。地域住民が手掛けた壁画や寄付による家具・食器の再利用は、循環型社会を実現し、運営側にも役割と居場所を提供しています。

  • 大庭欣二氏(福岡福祉向上委員会):2016年設立の福岡福祉向上委員会で延べ1240回のイベントを開催。
    カフェ運営を通じて、高齢者や認知症当事者の生きがいを支援していらっしゃいます。また、認知症当事者が接客する「注文を間違えるかもしれないカフェ」や[書店でのアルバイト企画(*)]など、高齢者の社会参加を後押し!
    来場者の興味を引く楽しそうなイベント企画で地域福祉の認知度の向上に大きく貢献されています。

    (*)書店でのアルバイト企画
    「認知症当事者が書店でアルバイトをするプロジェクト」として、73歳の敦子さんが10年以上の認知症を抱えながら本プロジェクトに参加し参加。宮脇書店で日記を書いて記憶を補いながら本の陳列、整理、接客補助などに従事し、生きがいを感じたエピソードを紹介。

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  • 山下和美氏(福岡オトナビコーディネーター):五福の家のカフェのマスターや福岡オトナビコーディネーターなど自らパラレルキャリアを実践されています。
    ライチャードによる高齢者の性格類型について紹介し、特に「安楽椅子型」と「円熟型」についてフォーカス。
    「安楽椅子型」の特徴は、老いを受け入れ、受動的で依存的。「縁側でゆらゆら揺れる」ような生活を憧れるが、他人任せ。
    山下氏も「受け身で老いていくことを受け入れて、誰かがやってくれるだろうみたいな感じで、憧れはしますけど」と述べつつも、穏やかだが積極性に欠けると評価。
    一方、「円熟型」は、「老いを自覚しつつ、誰かの役に立つ」「一番上手な人」と紹介。
    孤独を防ぎ、生きがいを感じることができる「円熟型」のメリットを生かして「頑張りすぎない程度」にコミュニティへ参加することの重要性を強調し、シニア世代に「円熟型」のライフスタイルを提案。社会参加の喜びを伝えました。

セミナー後、参加者は施設を見学し、カフェで「やってみたいこと」をテーマに語り合い、定年後のセカンドキャリアや社会参加への意欲を高めました。

 

シニアの社会参加を後押しする未来

「五福の家」は、高齢者が新たな役割や仲間を見つけ、希望を持って社会参加を続ける場を提供。
福岡100プラザでは新しい知識、活動、趣味と出会える講座、教室を定期的に開催してます。スキル、経験を活かせるプログラムも準備しています。
 
「五福の家」や「福岡100プラザ」の取り組みは、カフェやイベントを通じて多世代の交流を促進し、孤独の解消や生きがいの創出に貢献しており、高齢者支援と社会参加の新たなモデルとして地域共生社会の実現に向けて進んでいます。

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